2022-06-21
超高齢化社会といわれる日本…親が認知症になり、介護費用の捻出のために親名義の不動産を売却しようと考える方も多いでしょう。
しかし、親に意思能力がないと判断された場合には、本人による不動産売却はできません。
今回は、認知症の親が不動産を売却できない理由と、売却に備えて知っておきたい成年後見制度について解説します。
高齢の親の介護費用に不安を感じている方も、安心して老後を迎えたいと考えている方も、参考にしてみてはいかがでしょうか。
不動産売買のような法律行為といわれる重要な契約は、本人の意思が確認できない場合にはおこなえません。
意思能力がないと判断された方がおこなった不動産売買などの契約は無効になります。
名義人である親が認知症で判断能力が乏しい場合は、親族が代理で契約をおこなえば良いと安易に考えている方もいるかもしれませんが、それはできません。
たとえ介護費用捻出のために子どもがおこなうことであっても、意思能力が低下している方からは委任状をとることもできないのです。
ただし、認知症が疑われる場合でも意思能力があると判断されるなら、通常の契約行為をおこなうことも、代理人を立てることもできる可能性があります。
認知症の親の介護費用や、介護施設への入所資金などを捻出するために、どうしても不動産を売却したいという方は成年後見制度を利用すると良いでしょう。
成年後見制度とは、認知症や知的障害・精神障害などで判断能力が不十分な方(被後見人)の法律行為を、後見人として選任された方が代行する制度です。
成年後見制度は2種類
●任意後見制度
●法定後見制度
任意後見制度とは、将来の判断能力低下に備えて、あらかじめ後見人と代行してもらう内容を決めておく制度です。
本人が一番信頼できる方にお願いしておくことで、安心して老後を迎えることができるでしょう。
一方、法定後見制度では、家庭裁判所がもっとも後見人にふさわしい方を選任し、財産管理を任せる制度です。
すでに認知症などで意思能力の低下がみられる場合には、法定後見制度を利用すると良いでしょう。
後見人は、被後見人の財産を守るという原則のもと、預貯金や不動産の管理・確定申告・生活保護の申請などの手続きを代行することができます。
これにより、被後見人の不動産売却の手続きを代行することも可能です。
成年後見制度を利用して、被後見人の不動産の売却をおこなう際は、家庭裁判所の許可が必要になります。
後見人は被後見人の不利になることはできないので、著しく低い価格での取り引きは認められません。
不動産売却を検討する際は、事前に家庭裁判所へ相談しておくと良いでしょう。
親が認知症になってからでも、成年後見制度を利用することで不動産売却は可能です。
しかし、将来的に自宅をどうするかなど、意思能力がはっきりしているときから親子で話し合う機会をもうけておくと良いのではないでしょうか。
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